目次
はじめに
どのように見抜くか
おとり広告とは
まとめ
参考
はじめに
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会が、2023年1月25日にインターネット広告の一斉調査報告(売買・第2回)を公表しました。
調査対象サイトは、「at home」「LIFULL HOME’S」「SUUMO」の売買を対象にした調査です。
ニュースリリースによると、
(1) 違反物件数
調査対象305物件のうち21物件(6.9%、いずれも中古マンション)が「おとり広告」と認められた。
(2) 違反事業者数
事業者別では、46社のうち17社(37%)に「おとり広告」が認められた。
また、店舗別では、48店舗のうち17店舗(35.4%)に「おとり広告」が認められた。
調査対象は多いとは言えませんが、一定数の違反物件と違反事業者は存在するようです。
どのように見抜くか
結論は、現地で待ち合わせて内見する意思を明示することです。
現地で集合すると、
・おとり広告であれば、内見ができない
・不要な案件を勧められる可能性が減る
ためです。
おとり広告とは
おとり広告は、宅建業法第32条および不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)第21条で規制されています。賃貸でも売買でも規制されます。
宅建業者は、宅建業法に従う必要があり、おとり広告は禁止されています。
宅建業法の罰則は、
誇大広告の禁止に違反したものは、、
・指示(同法第65条第1項、第3項)
・業務停止(同法第65条第2項、第4項)
・情状が特に重いときは免許取消し(同法第66条第1項9号)
・6か月以下の懲役または100万円以下の罰金(同法第81条第1号)。
という処分を受けます。
消費者庁「不動産のおとり広告に関する表示」のなかの定義は、
自己の供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として行う次の各号の一に掲げる表
示として以下のものを上げています。
- 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動
産についての表示
- 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産に
ついての表示
- 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産につい
ての表示
※この告示で「不動産」とは、土地及び建物をいう。
となっています。
表示規約違反に対しては、景品表示法によって措置命令が出され、
・命令に従わないときは2年以下の懲役または300万円以下の罰金などの罰則(景品表示法第6条、第15条第1項・第2項)。
これほど重い罰則があるのに、なぜおとり広告は減らないのでしょうか?
おとり広告は、来客・問い合わせ数を増やすためにされています。
扱う案件に魅力的なものが少ない場合が多いです。
一旦やり取りしてしまうと「めんどくさい」「せっかくだから・・」と他の物件を見てしまうこともあります。
たまに、HPに表示されている案件が他社で客付けが行われて、売却もしくは賃貸契約成立の情報をしらないため、そのままになっているケースもあります。
不動産業者の繁忙期は、1~3月、9~10月です。この時期は、案件の動きが早いのでHPがそのままになっている可能性が高いので、注意する必要があります。
最も安心できるのは、賃貸の場合は自社で管理している会社の案件です。
売買の場合は、レインズを見る以外の方法はないので、直接売主とつながっているか知る手立てがないのが現状です。
まとめ
おとり広告は、一定数ある可能性がある
ネット上の案件は、契約が終了しているものもまぎれている
内見する場合は、現地で集合する
賃貸の場合は、自社で管理している会社を探す
参考
インターネット広告の一斉調査報告 (公社)首都圏不動産公正取引協議会
https://www.sfkoutori.or.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2023/01/20230125_baibaichousa.pdf
不動産のおとり広告に関する表示 消費者庁