2022.8.23 ダイナミックプライシング

 目次

 はじめに

導入の理由

導入するための条件

消費者の視点

電車の運賃に反映されるとどうなるか

 まとめ

参考

 はじめに

ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing:変動料金制)とは、需要と供給のバランスから最適な価格設定をする技術です。AIの発展によって様々な場面で利用されるようになりました。代表的な例では、航空券やホテルの宿泊料、スポーツイベントなどの入場チケットがあります。直近では、電車の運賃にも導入する検討がはじまっていることで話題になっています。

導入の理由

企業がダイナミックプライシングを導入するのは、需要が大きい時に価格を上げ、需要が小さい時には価格を下げて収益を最大化するためです。

AIの導入により、需要予測がしやすくなったため、需要期間中にも価格を変動させることが可能となっています。

値上げの方に目がいきがちですが、ファストファッション以外のアパレル業界の服の値下げのタイミングにも使われています。流行の期間が限られているため、売り切る策の1つです。

また、人材の需要を平準化することでコストを抑えることができます。

問題になっていることもあります。アメリカ アマゾンの事例ですが、巨大ハリケーンの襲来時、防災用の需要が高まった結果、Amazon内で水の価格が急騰しました。NYの混雑時でのUberの利用料が3倍になることもあるようです。

導入するための条件

導入するための条件は、

① 価格変更に費用や時間がかからないこと

 例えば、インターネット販売

② 価格の変動が顧客に受け入れられていること

 例えば、航空券、宿泊料、観戦チケット、駐車場など

③ 在庫の数が固定的であること

 例えは、②と一緒。共有部分がないとは、

といわれています。

 

 価格を決める条件は、周辺イベント、天候、話題性などの要素です。

導入には細心の注意が必要だと、京都大学大学院経済学研究科 依田高典教授は、Wedge ONLINEの記事で言っています。 

「価格」には二つの機能がある。

一つは需給の調整機能だ。価格が動くことで、需給の一致するところで資源配分が最適化(売り上げは最大化、消費者の満足も最大化)する。

もう一つは商材価値のバロメーターとしての機能。その商品がどのような社会的付加価値をもたらすかの指標になるということだ。

ダイナミックプライシングは誤って使われると、そのバロメーター機能を損なうことになる。

価値のバロメーターとしての機能が損なわれると、消費者は、他者より自分は「得をしたかどうか」を気にするようになる。他者より安く買えれば嬉しいし、高値でつかまされると不愉快、不当感を感じるようになる。

としています。

消費者の視点

日経クロストレンドが、2020年に消費者側は、

①この価格決定メカニズムをどこまで知っているのか。

②メリットを感じているのかいないのか。

を全国20~50代の男女434人にアンケートを取っています。

認知度については、おおよそ半分が「初耳」と答えています。

許容度については、どのようなものに適用されるかで、許容度が変わっています。

“許容派”が最も多かった順は、ホテルの室料で43.6%、航空運賃(41.7%)、プロ野球やサッカーのチケット(41.0%)、コンサートのチケット(39.7%)となっています。

既にダイナミックプライシングを導入済み、あるいは導入進行中のジャンルでは容認が比較的多い。としています。

これから導入されていくものは、ハードルが高い可能性があります。

商品やサービスが必要な場合は、高い価格で買わざるを得ない状況にもなります。

また、消費者はどのような価格が設定されているか調べる必要があり、検索疲れ→購入控えの可能性があります。

電車の運賃に反映されるとどうなるか

すでに導入が始まっている高速バスでは、満席がわかっている時期から閑散期への利用客を移動が目的となっています。これにより、バスや、運転手の効率的な利用が可能となります。

ホテルと大きく異なるのは、選択肢が少ないこと生活の糧になっているため、価格のボラティリティが大きくないことです。現状は、発売開始時の運賃の10~30%UPにとどまっているようです。

一方、電車の場合はどうでしょうか?

電車の場合も、混む時間帯の利用料金が高くして、利用料金が安い空いている時間帯に利用者を移動させることで、利用者数の平準化を目指しています。

ロンドンの地下鉄では平日の6:30-9:30, 16:00-19:00の通勤・帰宅ラッシュ時間を「ピーク時間」と定義し、それ以外のオフピークの時間帯においてはピーク時間の運賃の約5割から6割の運賃で乗車できるといったダイナミックプライシングを導入しています。

ここまで激しくなるかどうかはわかりませんが、会社が時差出勤を認めていないと思うような移動は期待できないです。

日本ではコロナが収束しそうないまでは、ピーク時の混雑はあまり変わっていないように見えます。社会システムがそれほど変化していない可能性があります。

移動コストが高まると、会社のそばに住む需要が増える可能性はあります。

 まとめ

・ダイナミックプライシングは、すでに導入されている航空券や宿泊料では受け入れやすい

・AIの進展にともない適応される範囲が広がる可能性がある

・買い手側は、価格に振り回される可能性がある

・電車の運賃に反映されると、住む場所を変える可能性がある。

参考

ダイナミックプライシング「困る」54% 女性が高値づかみを懸念 日経クロストレンド

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00275/00006/

ダイナミックプライシングは自殺行為になりかねない Wedge ONLINE

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18756?page=2