2022.8.17 マンション敷地売却制度

目次

 はじめに

建て替えの原因

建て替えできない理由

対策

まとめ

参考

 はじめに

国交省の統計データによると、2021年末現在 築後30、40、50年以上の分譲マンション数は、

○築40年以上のマンションは現在115.6万戸(マンションストック総数の約17%)。

○10年後には約2.2倍の249.1万戸、 20年後には約3.7倍の425.4万戸となる見込み。

としています。しかし、この数字は、は、国土交通省が把握している公団・公社住宅の戸数を基に推計した戸数のみとなります。

20年後(2041年末)には、425.4万戸と推定されており、築30年を超えている戸数の中で、72%を占めるようになります。

ちなみに、分譲マンションストック戸数は、現在のマンションストック総数は約685.9万戸(2021年末時点)です。

建て替えの原因

建て替えの原因は、「マンション政策の現状と課題」にもあるように、

・耐震改修ができない

共用部の外壁などの剥落

鉄筋の露出

給排水管の老朽化による水漏れ  となっていますが、

潜在的に、「建物の仕様が現状に合わなくなっている」ことも挙げられます。天井高さが低い、電気の容量が増やせない、2方向避難ができなかったりしています。

建て替えできない理由

分譲マンションは、区分所有で登記されているように専有部分は居住者の資産です。つまり、何をするにも専有部分を保有している人の合意が必要です。

建て替えするには、居住者の移転費用、解体費、設計費、建築費などが必要となります。これらを居住者で負担する必要があります。

居住者が納めている「修繕積立金」ですが、これは日々の修繕費に使用されているため、残っているのはわずかだと思います。

長期修繕計画を見てみると、20年、30年ごとに大規模修繕が計画されていると思います。

築年数が40年とすると、20年ごとに修繕することが1回、30年ごとに修繕することが1回、さらに2回目の20年後との修繕が計画されています。

長期修繕計画は目安なので、5年ぐらい前から準備して修繕するものを選択して、詳細の見積もりを取る必要があります。

精算見積もりは、長期修繕計画より高くなる傾向にあります。

若い人達は、ほかの住宅に移り住みますが、長年お住まいの方は高齢者の方が多いので、移動することが難しくなります。

つまり、建て替えするにはほぼ自身でお金を調達する必要があるのですが、高齢者が多いマンションでは、高齢者の費用負担がネックとなります。

大規模団地の場合は、一団地認定がネックとなることもあります。

建築基準法(以下、「法」といいます。)では、一敷地一建築物が原則です。

一団地建築物設計制度(法第86条第1項)と連担建築物設計制度(法第86条第2項)は、特例的に複数建築物を同一敷地内にあるものとみなして建築規制を適用する制度です。

 特定行政庁が、その位置及び構造が安全上、防火上、衛生上支障がないと認める建築物については、接道義務、容積率制限、建ぺい率制限、日影規制等が、同一敷地内にあるものとみなして適用されます。

一団地認定の取消しには、当該区域内の土地所有者等の全員の合意を得なければならないとされていることが、ハードルとなっています。

合意がされた場合でも、公告区域内の全ての建築物に建築 基準法違反が発生しない場合でないと取り消しできないとされています。

対策

代表的なマンション建替えの手法としては、「マンション建替え・敷地売却フロー図」にまとめれられている通り、

・マンション立替事業(組合施工)

・マンション敷地売却制度

・マンション建替事業(等価交換方式)

立替事業と敷地売却制度は、マンション立替法によります。

どれを選ぶにしても、再入居するには相当の費用が掛かります。

2002年のマンション建て替え法の改正により、「マンション敷地売却制度」が制定され、耐震性が不足するマンションを敷地売却することが出来るようになりました。

流れは、

①マンション敷地売却決議によって4/5以上の賛成で敷地売却決定

②所有している区分所有権を組合に一本化した後、

③買受人(デベロッパーなど)に売却します

④敷地を売却した代金は各世帯の持分割合(専有面積の大きさなどで決定される)に応じて配分

⑤建て替えが決まったら、居住者は建て替えに賛成して再入居するか、反対して退くかの2択です。

 もちろん、再入居する場合は、工事期間中の引っ越し費用、仮住まい費用、建設費が必要になります。これらの費用は住宅ローンを利用できますが、分譲マンションのローンが残っている場合は、難しいかもしれません。

このようなことを考えると、分譲マンションに住むことは良いことかどうか考えることも必要かもしれません。

 まとめ

・築40年以上の建物は、20年後には425.4万戸が予測される

・築40年の建物は、大規模修繕が2回から3回はある。

・マンション建て替えには、多額の費用が掛かる

・建て替え決定した場合の選択肢は、再入居する費用を支払うか、分配金をもらって退く

・分譲マンションに住む必要があるか考える必要がある

参考

マンションに関する統計・データ等 国交省

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html

マンション政策の現状と課題 国交省

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001315032.pdf

マンション敷地売却ガイドライン 国交省

https://www.mlit.go.jp/common/001229202.pdf

≪マンション建替え・敷地売却フロー図≫(代表的なマンション建替えの手法) 国交省

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001352572.pdf