目次
はじめに
修繕積立金とは
修繕積立金の相場
長期修繕計画の注意点
修繕積立金が不足している場合
まとめ
参考
はじめに
日本の住宅は、アメリカの住宅と違ってあまり修繕やリフォームをして建物価値を上げる習慣はありません。設備が故障したり、困ったことが起きた時に事後的に対応することが多いです。
それは、日本の建物の価値は、時間がたつと減価償却されて、価値がゼロになるからです。
賃貸住宅の場合は、オーナーが負担しますが、マンション保有者は、自分たちで負担する必要があります。
ですので、マンションを保有されている方は、毎月管理費とは別に修繕積立金が徴収されています。
修繕積立金とは
修繕積立金とは、今後行われていく大規模修繕に備えての積立金です。
大規模修繕をいつ行うかの根拠は、長期修繕計画です。
長期修繕計画と、現状、見積もりなどをにらみながら、実際にいつ、何を行うかを決定していきます。
建物は、建てられたときから劣化が進行します。新築~10年ぐらいは、ほぼ修繕はないと思われます。ただし、細かい修理はあります。
その後15年~20年の間に1回目の大規模修繕が行われます。項目は、屋上の防水工事、外壁の目地のシーリング補修工事、鉄部の塗装工事、設備工事などが、適宜行われていきます。
その後、30年~40年目にも同様の工事が行われていきます。
修繕積立金の相場
修繕積立金の相場は、いくらぐらいなのでしょうか?
もちろん、建物の規模や形状によって大きく異なります。大まかにとらえると規模小さいものは単価が大きくなる傾向にあります。
平成30年度の国交省の調査によると、
・平成25年度と平成30年度を比較すると、月/戸当たりの修繕積立金の額、駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の総額ともに増加している
・平成30年度の月/戸当たりの修繕積立金の額の平均は11,243円、
駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の総額の平均は12,268円となっている。
とのことです。
注意することは、1戸あたりの専有面積がどれくらいなのかは、調査資料ではわかりません。
国土交通省が発表している、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、
②計画期間全体における修繕積立金の平均額の目安(機械式駐車場分を除く)として、

となっています。
試しに10階建てぐらい(1,500㎡)で専有面積が70㎡だとすると
235×70=16,450円/月
430×70=30,100円/月 となります。
先ほどの結果ともだいぶ異なります。
修繕費をコントロールするためには、長期修繕計画が欠かせません。
管理組合等が5年に1回など見直していると思いますが、建物が建てられたときにもらっている長期修繕計画を更新していない場合は、すぐにでも更新したほうがいいです。
長期修繕計画の注意点
長期修繕計画は、言葉通り20年~25年間の修繕計画を、おおよその改修期間に設定された単価×面積等で計算されているため、金額についてはあくまでも目安です。
大規模修繕の時期が、近づいてきたら詳細を詰めていく必要があります。
どの工事を行うのか、見積もりはいくらかなどです。
ネットなどで初期設定が低いといわれてますが、それは当然だと思います。
上記のように、長期修繕計画の金額はあくまでも想定で、修繕の周期合わせて、何年後に大きな金額がかかりそうだというふうに見ないといけないものだからです。
修繕積立金が不足している場合
長期修繕計画を鑑み、直近の修繕計画を精査して修繕積立金が不足することが予測される場合は、修繕積立金を値上げする必要があります。
修繕積立金を値上げする場合は、通常、管理組合の普通議決をする必要があります。
普通議決の場合は、管理組合員の過半数の賛成が必要です。
ただし、管理規則などに修繕積立金額が記載されている場合は、特別議決が必要です。
特別議決では、管理組合員の3/4の賛成が必要です。
一時金を活用することも可能ですが、住民が一括で負担できるかが課題となります。
まとめ
・修繕積立金は、マンションのオーナーが支払う
・修繕積立金の根拠は、長期修繕計画から作成されている
・マンションの修繕積立金が1万円/戸といわれているが、専有面積がわからない
・マンションの修繕積立金に関するガイドラインによると、
10階建てマンション、専有面積70㎡では、16,000~30,000円/月ぐらいになる
・長期修繕計画は、定期的に見直す必要がある。
・工事が計画される場合は、見積もりを取る
・修繕積立金が不足する場合は、値上げをする必要がある。
参考
平成30年度 マンション総合調査 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001287570.pdf
マンションの修繕積立金に関するガイドライン 国土交通省