2022.10.17 家族信託と認知症

目次

 はじめに

 認知症

 意思無能力のリスク

 家族信託

 信託できないもの

 家族信託と任意後見契約

 まとめ

 参考

 はじめに

 厚生労働省 大臣官房統計情報部「完全生命表における平均余命の年次推移」によると、日本人の平均寿命は、明治時代・大正時代は、男性の平均寿命は43才前後であったが、この約50年で男は27.66年、女は30.64年延びています。

また、寿命と健康寿命の差は、約10年となっています。つまり、寝たきりの状態が約10年続くということです。

 また、長寿のリスクは、認知症にあるといわれます。

65 歳以上の認知症患者数と有病率の将来推計 内閣府

認知症

平成28年版高齢社会白書の「65歳以上の認知症患者数と有病率の将来推計」によると

認知症患者数は、2020年に631万人が2030年には、830万人、2050年には、1016万人と推定されています。

認知症の最大要因は、加齢だといわれているため認知症の高齢者の数も増えていきます。

「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いはどこにあるのでしょうか?

政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン」によると、「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いは、下記であるとしています。

「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い  政府広報オンライン

意思無能力のリスク

民法によると、意思無能力者とは、意思能力を欠く者のことを指します。

意思無能力者のした法律行為は無効であり、裁判所によって指定された成年後見人等が代わって法律行為を行うことになります。(民法712条~713条)

つまり、家族の財産を見ず知らずの人が管理することになるわけです。

成年後見人等の財産の管理は厳格で、生前贈与もできないくなってしまいます。

生前贈与は、配偶者の保護や孫におこづかいをあげる、物を買ってあげることなども含まれます。

家族信託

家族信託とは、遺言に変わる役割があり、成年後見人制度を補う機能があります。

成年後見人制度は、本人の財産は基本的に本人のためにしか利用できません。このことが、使い勝手が悪いといわれる所以です。

家族信託は、委託者の意思により特定の財産を、信託の目的に従って受託者が管理活用します。受益者も委託者以外の家族を指定することもできます。

信託できないもの

 信託できないのは、

①金銭的価値に置き換えられないものです。

例えば、借金や他人に借金についての保証債務など

 ②財産的価値はあるものの、一身専属的な財産

   例えば、年金、賃貸人の承諾のない借地権など

 ③信託に対応できない財産

   例えば、上場株式農地、

家族信託と任意後見契約

 家族信託は、信託財産にならない財産や、身上保護の手続きなどには受託者の権限が及ばないこともあります。

そのため、家族信託契約と同時に任意後見契約を締結したほうがいいと思います。

 まとめ

 高齢者は、認知症のリスクを抱える

 成年後見制度は、財産の管理に制限がかかる

 家族信託は、信託できる財産に限りがある

 身上保護などを考えると、任意後見契約も同時にすべき

参考

第19回 生命表 厚生労働省 大臣官房統計情報部

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/19th/gaiyo.html

平成28年版高齢社会白書(概要版) 内閣府

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/gaiyou/s1_2_3.html

「もし、家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン」  政府広報オンライン 令和3年(2021年)927

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html