2022.5.24  M&A案件

目次

 はじめに

 事業継承補助金

 売買価格の決め方

 水平、垂直型M&A

 M&Aの成約率

 まとめ

 参考

 はじめに

 不動産物件が入手しにくい場合、競売、公売以外に方法はないのでしょうか?それ以外の方法としては、会社が保有している資産ごと会社を買うM&Aという手法があります。

昨今、事業継承がうまくいかず、M&A案件が増えています。

中小企業庁の中小企業白書によるとM&A件数の推移は、

M&A件数の推移 中小企業白書

後継者不在で廃業に追い込まれたのは、不調な企業ばかりではありません。痛くない注射針を開発した岡野工業も業績好調ながら、2018年に廃業しています。

特に中小企業は、同族経営で取りが家業を引き継ぐケースが多い。岡野工業も跡取りがいなくてあきらめたようです。M&Aが検討されていたかはわかりませんが、貴重な技術が失われていきます。

帝国データバンクの2020年の調査によると、社長の平均年齢は60.1歳となっています。

60歳以上の中小企業の経営者の後継者不在は、約50%といわています。

昨今は、M&Aも前向きにとらえられ、積極的に行われています。行政も事業継承は技術の喪失だけでなく、雇用の失われるとして支援しています。

 事業継承補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、休廃業などによる地域の技術や人材など経営資源の散逸を回避し、生産性の向上を図るために経営資源の集約化事業引き継ぎを後押しするための補助金です。

具体的には、事業承継・引継ぎ後の設備投資販路開拓等の新たな取組を支援するとともに、事業引継ぎ時の専門家活用費用などを支援します。

2022年6月に募集されているのは、「経営革新事業」です。具体的には、「経営革新」「経営者後退型」「M&A」で、補助率は、補助対象経費の2/3以内で、補助上限は600万円以内です。

対象となる経費は、謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費

(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用)等

です。

受付期間は、2022年5月31日(火)~2022年6月20日(月)17:00

 売買価格の決め方

 売買価格の決め方には、「コストアプローチ」と「マーケットアプローチ」があります。

コストアプローチの算出方法は

価格=時価総資産-時価総負債+(過去3年間の営業利益の平均×3年分)

比較的規模の小さいM&Aに使用されています。中小企業の経営は不安定で将来の売り上げや利益が予測しづらいため、現時点での価格を客観的に評価することに特徴があります。

コストアプローチのメリットは、

 ・純資産を反映させることで評価の平等性を担保できる

・比較的簡単に計算することができる

コストアプローチのデメリットは、

 ・会社の将来的な収益を考慮していない

・価格変動を考慮していない

とされています。

マーケットアプローチの算出方法は、

価格=(売り手側のEBITDA×類似企業のEV/EBITDA)

+(現預金-有利子負債-少数株主持分)

      EBITDA=営業利益+減価償却費

      類似企業のEV/EBITDA=(株式時価総額+有利子負債-現預金)

÷(当期利益+法人税等+支払利息+減価償却費)

      もしくは、

      経営指標の倍率(EV/EBITDA)=(株式時価総額+有利子負債-現預金)

÷(営業利益+減価償却費)

      EV/EBITDA:(企業価値が、営業キャッシュフロー(税・金利控除前)の何倍かを示す指標)で、一般に8~10倍とされています

企業規模が大きくなると、上場企業と比較によって企業価値を算出する手法が多く使われています。

マーケットアプローチのメリットは、

 ・実際の株価を反映させるため客観性が高い

・直近の市場動向を反映したものになる

マーケットアプローチのデメリットは、

 ・市場の影響により評価が変わる

・類似する会社がない場合は用いることが難しい

とされています。

 

 水平型、垂直型M&A

会社を買収する側から見るとM&Aには水平型、鉛直型といわれる事業の拡げ方があります。

水平型M&Aとは、同じ業種、業態の企業同士で行われるM&Aのことです。同じ業種、業態なので単純な規模の拡大とも言えます。それに、業界がよくわかっているためお互いの会社の強みを生かすことが可能です。

一方、鉛直型M&Aとは、業務の川上、もしくは川下の事業に拡大していくM&Aのことです。製造業であれば、材料の調達の企業を買収する、販売会社を買収するといったようなことです。

外注する部分が減るなど業務の効率化が望めます。

水平型M&Aは、業界再編の場合に用いられることが多く、シェアの独占や仕入れや物中コスト削減などが期待されます。

鉛直型M&Aは、新規参入者が不足している部分を補うなど、商品やサービスの競争優位に立つことを期待されます。

様々なM&Aで技術の伝承が途切れないことを願っています。

 M&Aの成約率

デロイトトーマツコンサルティング「M&A経験企業にみるM&A実態調査」によると、

調査年から数えて過去5年間にM&Aによる買収・売却を実施した企業190社のうちM&Aの成功率は、36%となっています。

M&Aの成功率 「M&A経験企業にみるM&A実態調査」2013年 デロイトトーマツコンサルティング

M&A検討/活用時の課題は、下記のようになっています。

M&A検討/活用時の課題 「M&A経験企業にみるM&A実態調査」2013年 デロイトトーマツコンサルティング

 まとめ

社長の平均年齢は60.1歳

60歳以上の中小企業の経営者の後継者不在は、約50%

事業継承補助金がある

M&Aの成功率は、約36%程度

 参考

中小企業のM&Aの動向 中小企業白書 中小企業庁

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_3_2.html

全国社長年齢分析 帝国データバンク

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210202.html

事業承継・引継ぎ支援センター 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

https://shoukei.smrj.go.jp/

「M&A経験企業にみるM&A実態調査」(2013年) デロイトトーマツコンサルティング

https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/about-deloitte/news-releases/jp-nr-nr20131008-2.pdf