2021.6.8  残置物の処理等に関するモデル契約条項

先日法務省より、残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定が発表されました。

想定される場面は、単身高齢者(60歳以上の者)の入居時(賃貸借契約締結時)となっています。

背景は、民間賃貸住宅等においては、相続人の有無や所在が明らかでない単身者が死亡した際の賃貸借契約の解除居室内に残された動産(残置物)の処理への不安感から、高齢者の入居の申込みを賃貸人が拒否することがあるからです。

残置物の処理等に関するモデル契約条項は、賃借人の死亡後に契約関係および居室内に残された家財(残置物)を円滑に処理できるよう、(1)賃貸借契約の解除および(2)残置物の処理に関する委任契約書のひな形を策定されました。

しかし、問題は、契約の解除や留置物の処理の問題だけではありません。問題は、「死」の方ではないでしょうか。

室内での自殺や他殺、事故死については、心理的瑕疵に該当し、当然に告知義務が発生しますが、通常、自然死(病死、事故でない死)の場合は告知なしと言われています。

判例 東京地裁 平成18年12月6日の判例では、

概要:賃貸アパートにおいて、建物の階下の部屋で半年以上前に自然死があった事実は、瑕疵に該当しないとした事例

裁判所判示:社会通念上、賃貸目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に起因する心理的欠陥に該当しない

とされていますが、告知しなくてもよくなる期間や条件は、判例でも様々です。

告知した場合は、入居者がいない時期が長くなったり、賃料を下げて募集せざるを得ないでしょう。

そうすると損害賠償等に発展します。「残置物の処理等に関するモデル契約条項」は1つの解決法ではありますが、損保保険への加入を含めてトータル的に考えていかなければなりません。

参考

残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定について 法務省

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00262.html